相続にはさまざまなケースがありますが、代表的な事例をいくつか紹介します。
事例 1:遺言がない場合の法定相続
状況:
父親が亡くなり、遺言書は残されていなかった。相続人は母親と子供2人。
相続の流れ:
- 法定相続分の決定:
- 母:1/2
- 子供2人:各1/4
- 遺産分割協議:
- 相続人全員で話し合い、不動産を母が相続し、預貯金を子供2人で分けることに決定。
- 相続手続き:
- 不動産の名義変更や銀行での手続きを行い完了。
ポイント:
- 遺言がない場合、法定相続分に従って分割される。
- 遺産分割協議を円滑に進めることが重要。
事例 2:遺言書がある場合
状況:
亡くなった父親が「全財産を妻に相続させる」という公正証書遺言を作成していた。子供2人がいる。
相続の流れ:
- 遺言書の確認:
- 公正証書遺言があり、法的に有効。
- 遺言に基づく相続手続き:
- 妻が不動産や預貯金を相続。
- 子供の遺留分請求:
- 子供は本来の相続分の1/2(遺留分)を請求可能。
- 子供が遺留分侵害額請求をし、母が一部金銭を支払うことで解決。
ポイント:
- 遺言があれば基本的にその内容が優先される。
- 相続人には最低限の取り分(遺留分)があるため、争いが生じる可能性もある。
事例 3:認知された子供がいる場合
状況:
亡くなった父には、婚外子(認知した子供)が1人いた。法定相続人は、妻と嫡出子1人、婚外子1人。
相続の流れ:
- 法定相続分の確認:
- 妻:1/2
- 嫡出子:1/4
- 婚外子:1/4(嫡出子と同じ相続分)
- 遺産分割協議:
- 婚外子も相続権を持つため、遺産分割協議に参加。
- 遺産を売却して分けることで合意。
ポイント:
- 認知された子供も嫡出子と同じ相続権を持つ。
- 遺産分割でトラブルが発生しやすいケース。
事例 4:相続放棄するケース
状況:
亡くなった父には多額の借金があり、相続人(妻と子供2人)は負債を引き継ぎたくなかった。
相続の流れ:
- 相続放棄の手続き:
- 3ヶ月以内に家庭裁判所で相続放棄を申請。
- 相続権が次の順位へ:
- 妻と子供が放棄したため、相続権は父の両親や兄弟へ移る。
- 最終的な処理:
- 兄弟も放棄したため、最終的に相続する人がいなくなり、借金は消滅。
ポイント:
- 負の遺産(借金)がある場合は、相続放棄が有効な手段。
- 相続放棄は3ヶ月以内に行う必要がある。
相続はケースによって大きく異なり、遺言の有無や家族構成、財産の種類によって手続きも変わります。
